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ベルリンの夏、パリの夏、ニューヨークの夏。それぞれの夏の感じ、夏への想い。
エンパイア・ステート・ビルディングがあればニューヨーク、エッフェル塔があるとパリ。そして、ベルリンにはベルリンタワーがあります。冒頭のシーンでスラリとしてかんざしみたいに特徴的なタワーが見え、ベルリンだとわかります。
ヨーロッパは冬は寒さが厳しいですが、夏は遅くまで陽が高く(ベルリンやパリは21時過ぎても明るい)、気持ちの良い日が多いです。ベルリンの公園にはカフェがあってお酒も飲めたり、食べ物の出店やフリーマーケットがある公園などもあります。短い夏を楽しむべく、人々は公園でピクニックしたり、日向ぼっこしたりと外で過ごすことが多いように思います。
パリも公園たくさんあってお散歩が楽しい街ですが、本作品ではあまり出てきませんでした。(『アマンダと僕』の方がパリの公園は出てきます)代わりに、南フランスにあるアヌシー湖の湖畔の夏の美しさに目を奪われました。『アマンダと僕』同様に、この作品も16mmのフィルムで撮影されていて、フィルムの持つ暖かさや柔らかさが、美しい南仏の青い空と濃い緑の山や木々と相まって、独特の雰囲気を醸し出していました。
本作品はセリフは少なく人々の仕草や表情などで感情を表現しています。人々の哀しみ、怒り、戸惑い、やるせなさといった負の感情は、夏の明るく美しい日差しの中で、余計に切なさを漂わせるのかもしれません。美しいから余計に哀しい、というか、哀しすぎると美しい景色をみてもものすごく哀しく感じる、という経験をしたことがある人なら、いろいろ伝わるものや思うものがあるのではないでしょうか。
ヨーロッパの夏と比べて、ニューヨークの夏は実はそんなに過ごしやすくありません。冬寒いのに夏は日本並みに暑いです。私はニューヨークでは、ヨーロッパや東京みたいに「友達と公園で集まる」のは経験したことありません。昼間に公園で過ごすというより、夕方くらいからアパートメントの屋上でのホームパーティだったり、路面にテーブルがあるカフェやバーでまったりという感じが多かったです。マンハッタンにある公園は、芝生に座るよりベンチに座るような公園が多かったからかもしれません。
本作品では、背景にマンハッタンの摩天楼が見える角度と、ウィリアムズ・ブリッジ(と思われる)橋が写っていたので、舞台はブルックリンの(多分)ウィリアムズバーグと呼ばれる地域です。ブルックリンは昔は治安がいいとろころではなかったのですが、マンハッタンに近い地域から徐々に人々が移り住み始めて治安も良くなりました。ウィリアムズバーグのいいところは、マンハッタンのダウンタウンから近いこと、マンハッタンより広い部屋に住めること、マンハッタンを横から眺められるところ、ヒップなアーティストなどが移り住んでおしゃれになっているところ。
最初の夏から3年が経ち、3つ目の都市で迎える夏。夏が来るたびに、感じる想い。夏が来るたびに、再会する人。3度目の夏、そこにあるのは、、、。
エンディング、心に染み入る美しい夏でした。エンディングからのエンドロールに流れる音楽も、私にとってはドンピシャで、静かな映画ですが私は大好きです。