シークレット・スーパースター
Secret Superstar
G
スクリーン 
11/1 - 11/14(予定)
上映開始日:11/1
上映終了日:スケジュールで確認ください
インド
監督:アドヴェイト・チャンダン
ザイラー・ワシーム、メアー・ビジ、アーミル・カーン
オフィシャルサイト
AAMIR KHAN PRODUCTIONS PRIVATE LIMITED 2017

シークレット・スーパースター

インド映画の王道といえば、上映時間は長く、基本は美男美女が歌って踊って、ストーリーはベタにベタベタ、分かりやすい展開で期待通りに進むのでハラハラしても安心して観ることができます。インド映画の王道の欠点といえば、設定の深みに欠け、ちょっと雑(大味)というところでしょうか。なので、インド映画をご覧になる場合、繊細な深みは求めず、素直にベタに乗るとおもしろいし、泣けるところはちゃんと泣ける落としどろこがあります。インドの人は、わかりやすい王道をいく映画が大好きなんですね。

刈谷日劇でちょっと前に上映していた『あなたの名前を呼べたなら』は、歌わない、踊らない、尺も短くて、ベタでなく深みがあってインド映画の王道から外れいていました。今回紹介する『シークレット・スーパースター』は、割と王道のインド映画です。家庭内DV(ドメスティック・バイオレンス)やインドの男尊女卑に関する社会問題を取り上げているところが、これまでの王道からは外れるところですが、これまで王道のインド映画を観たことない方にも、ぜひ観ていただきたいとおすすめできるボリウッド(インド)映画です。

image

ストーリーに関しては映画を観てもらうとして、今回は本作品に出演した俳優を紹介しようと思います。まずは、本作品の中でプロデューサーのシャクティを演じたアーミル・カーン。シリアスなものからコメディまで完璧に役に入り込んで演じるインドのトム・ハンクスのような俳優であり、監督やプロデュースもやります。

ボリウッドの「三大カーン(The three Khans)」の1人です。「三大カーン」というのは、シャー・ルク・カーン、アーミル・カーン、サルマン・カーンの3人。3人とも姓が「カーン」であり(親戚とかではない)、3人がインド映画には欠かせないトップ3の俳優で、シャー・ルク・カーンは2枚目、アミール・カーンが知的、サルマン・カーンは肉体派なイメージです。3人が主演する映画はほぼ常に年間興行トップ10に入り、インドでは知らない人がいないという国民的スターのことです。

image

インドの映画業界では、俳優は同時に4〜5本の映画を掛け持ちしているのが一般的なところ、アミール・カーンは役にしっかりと向き合いたいという理由で1度に1作品関わらず、役にあわせて体型を変えたり、とにかく役になりきる努力はトップ中のトップ。「天才」「インドの国宝」「インドの良心」などと呼ばれています。

自身で製作、出演した『ラガーン』で、アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、その後も 『きっと、うまくいく』『PK』『ダンガル きっと、つよくなる』など関わった作品は、インドでの興行成績の記録を塗り替えるだけでなく、世界中でヒットしています。

本作品でも、アーミル・カーンが出てくる後半はぐっと引き締まります。圧倒的存在感と、素晴らしい

また、俳優や監督業以外に女性の地位向上や教育を広める活動などに熱心に貢献する社会活動家としても有名で、インド政府から勲章を授与されたり、ビル・ゲイツが対談をするためにインドまで会いにきたそうです。2013年TIME誌の「世界でももっとも影響力のある100人」の1人に選ばれています。その活動の中から本作の女性に関する問題やDVについてのヒントを得たそうです。

image

主人公インシアを演じたザイラー・ワシームは、『ダンガル きっと、つよくなる』でアーミル・カーンの娘役を演じた子です。インドでは歌はプレイバックシンガーと呼ばれる別の歌手が歌い、俳優が口パクで歌っているように演技するのが普通。主人公を演じたザイラーは、インシアのプレイバックシンガーのレコーディングに同席し、歌い方、動作、息継ぎなど真似て演技に取り込んだそうです。プレイバックシンガーは、インドでは裏方というよりもスターで、インドで有名なプレイバックシンガーのシャーンとモナリ・タークルが、グラマー賞の授賞式で本人役でカメオ出演しています。

本作品中にギターのカポの代わりに鉛筆をゴムで押さえているシーンがありますが、これはインシアの家庭環境でカポなんて買えるわけがないから鉛筆とゴムで手作りした方がいい、と言ったザイラーのアイデアが採用されたそう。本作品でインドのアカデミー賞と言われるフィルムフェア賞で審査員選出最優秀女優賞などを受賞したザイラーですが、イスラム教の教えに従うために女優業をやめることを宣言しました。

image

お母さん役メヘル・ヴィジュは『バジュランギおじさんと、小さな迷子』であの少女の母だった人です。そういえば、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』のバジュランギおじさんの役の俳優が、「三大カーン」のうちの1人のサルマン・カーンです。『バジュランギおじさんと、小さな迷子』インド映画史上興行成績歴代3位だったのですが、それを抜いたのが本作品でした。

アーミル・カーンのモットー「夢を妥協してはいけない、夢を実現するために妥協することはあっても、夢そのものを妥協してはいけない」が、とても反映された女の子が主人公のインド映画で興行収入1位の『シークレット・スーパースター』。インド映画好きの人たちがいう「アーミル・カーン出演作品にハズレなし」というのは間違っていません。ぜひ王道ボリウッドを刈谷日劇でお楽しみください。そうそう、エンドロールにスーパースターが出てくるの話が終わっても最後までぜひ観てくださいね。この切り替え、これもインド映画ならでは!